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ソフトマターの非線形・非平衡現象

土井 正男 先生

東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻

分野:ソフトマター

概要

ソフトマターとは、高分子、コロイド、液晶、界面活性剤、など大きくて複雑 な構成要素からなる物質群の総称である。これらの物質は、我々の身近ある物 質であると同時に、これからのテクノロジーを支える物質として注目されてい る物質である。

ソフトマターの特徴は、

  1. 柔らかく、弱い外場によって大きな非線形応答が現 れる
  2. 運動が遅く、なかなか平衡状態にならない

という点である。したが って、ソフトマターでは、非線形・非平衡現象が重要である。本講義では、コロ イドや高分子ゲルを例に取り、ソフトマターの非線形・非平衡現象のモデルを立 てるときの、一般的な考え方や方法について、述べる。

目次

1.ソフトマターとは
1.1 ソフトマターとは
1.2 ソフトマターの例 (高分子、コロイド、液晶、両親媒性分子)
1.3 ソフトマターの特徴

2.コロイド系のダイナミクス
2.1 液体中の微粒子の運動
2.2 変分原理
2.3 コロイド粒子系の集団運動
2.4 相分離ダイナミクス

3.ゲルダイナミクス
3.1 ゲルとゾル
3.2 応力と拡散のカップリング
3.3 ゲルの膨潤
3.4 ゲルの圧縮
3.5 体積相転移

参考文献:ソフトマター入門 I, II, III 、土井正男 固体物理 43 477-481, 563-568, 629-635 (2008),

世話人からのメッセージ

ソフトマターは高分子、コロイド、液晶、界面活性剤、粉体など軟らかな物質の総称です。ソフトマターは我々の体から、モニターの液晶、タイヤのゴムまで身の回りにあふれており、工学的な応用から生物物理、レオロジー、非線形・非平衡系の研究対象として重要な分野となっています。土井先生は高分子溶液の蒸発、高分子の粘着・剥離、ゲルの界面現象、摩擦など高分子溶液、ゲル、コロイドを中心にソフトマターにおける非線形・非平衡の研究をなさっています。

講義ではこれらの複雑な物質・現象にアプローチする手法をコロイドや高分子ゲルを対象に初歩から最近の研究までお話していただく予定です。皆さんも「固い」物質だけでなく「軟らか」な物質の勉強をしてみませんか?

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