湯川諭 准教授
大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻
BoltzmannやGibbsらが、平衡状態においてミクロな自由度とマクロな自由度をつなぐ統計力学を完成させてから、ほぼ100年になる。
統計力学の黎明期より、非平衡状態に関する理論的記述も精力的に研究されてきたが、未だ平衡状態近傍、
わずかに非平衡側にずれた線形領域の現象の記述にしか成功していない。
それは、非平衡状態では長時間相関や長距離相関の存在するなど、スケールの分離が難しいことが関係していると思われる。
本サブゼミでは、そのようなマクロな非平衡現象に対しミクロな自由度のシミュレーションから迫ってみたい。
コンピューターの中で、直接、非平衡状態を再現することにより、非平衡状態のより深い理解や記述が得られると考えられるからである。
具体的には、計算モデル、手法の紹介からはじめ、流体現象の再現、非平衡現象としての熱伝導現象、
また極限状況下での構造形成の問題などを取り上げる予定である。また最近の関連する研究についても紹介したい。
線形応答理論ができてからおよそ半世紀、未だに平衡から線形領域だけずれている非平衡現象の記述しか我々はわかっていません。 しかし近年コンピューターの能力の発展により、容易に非平衡現象をシミュレーションできるようになりました。 その恩恵を受け最近、非平衡現象の研究が盛んになっています。またゆらぎの定理などの理論が発表され、再びHotな分野になりつつあります。 湯川先生は幅広く非平衡現象を研究されていらっしゃるので、少し非平衡に興味がある方でも解り易い講義になると思います。 是非この機会に非平衡現象に触れてみませんか?