Logo
第71回 物性若手夏の学校 Condensed Matter Physics Summer School

集中ゼミ 2B

線形応答からBeyond Boltzmann電子輸送理論

小形 正男 先生 🌐

東京大学

統計力学で学ぶように、平衡状態については理論的に明確であり様々な状態が議論されている。

これに対して、電場や磁場・温度勾配などの外場がかかったときの非平衡状態は、もう一段難しい問題となる。

平衡状態からかなり離れた非線形・非平衡の問題も非常に興味深いが、ここでは外場を摂動とみなして1次摂動として議論する「線形応答理論」についてまとめる。

線形応答理論に関しては、ある種の仮定が含まれているが、実験結果と比較して良好な結果を得ることができる強力な手法である。

気体分子運動論のボルツマン方程式を物質中に応用したボルツマンの電子輸送理論や、量子統計力学から作られた久保公式によって、かなり正確に電気抵抗や熱輸送などが理解できるようになってきている。

後者の方法は、場の理論やファインマン・ダイヤグラムを用いた高度な計算手法と結びついている。

ゼーベック係数や熱輸送の問題も同様に議論できるが、その際にボルツマン方程式の結果では、あまり大きな効果が期待できない場合がある。

ゼーベック係数の大きな物質を探したい、またはローレンツ数が非常に小さい物質(電気は良く流れるが熱は流さない)を探したい、等という場合に、ボルツマン方程式を越えたものを考えるという方向性がある。

そのために、線形応答理論を微視的に扱ってbeyond Boltzmannの効果を探すという方法が考えられる。

それについても議論する。