集中ゼミ 1F
新しい量子測定の実践と応用 —光子を対象として—
飯沼 昌隆 先生 🌐
広島大学
量子測定は、ミクロの世界の量子現象から情報を取得するための重要な要素の一つに留まらず、その理解は量子現象が関わるあらゆる分野に波及する。
近年、弱測定や擬確率分布の測定、および測定の不確定性の研究をきっかけとして、量子操作技術の発展によって実現した測定の強さ可変測定(POVM測定で記述)や固有値以外の物理量の値の測定など、量子測定の新しい面が議論されるようになった。
前者は相補的(非可換)な二つの物理量の連続した測定を可能にし、後者は物理的理解を深めることに繋がる。
数学的に表記された量子状態は物理的状況との対応が不明であるから、量子状態の変化を追ってもミクロの世界の物理を理解するのは容易ではない。
一方で実際の物理量の測定値が固有状態に限定せずに得られれば、物理的変化を追うことも容易となる。
量子測定はかなり広範囲におよぶため、今回の内容は、筆者のこれまで光子を用いた研究を踏まえた実験の紹介と物理を理解する立場に限定する。
特に光子の偏光の擬確率分布の測定(Leggett-Garg不等式と関連するKirkwood-Dirac分布)と単一光子干渉計の内部の物理現象の観測を取り上げ、新しい量子測定をどのように実装し、どのように応用してきたのかについて解説する。