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第71回 物性若手夏の学校 Condensed Matter Physics Summer School

集中ゼミ 1E

情報理論的観点からの乱流入門

田之上 智宏 先生 🌐

大阪大学

流体乱流はさまざまな時空間スケールの渦から構成される乱雑な流れであり、そのふるまいを解明することは「理論の墓場」とも称される古くからの難問である。

一見すると混沌とした無秩序な流れにしか見えないが、その背後には普遍的統計則が宿っていると信じられている。

乱流が示す最も特徴的なふるまいの一つに、かけ離れたスケール間のゆらぎの干渉があげられる。

特に、従来の乱流研究では無視されてきたミクロスケールでの熱ゆらぎが、マクロスケールでの統計則や予測限界に本質的な影響を及ぼしうることが最近になって指摘されている。

このような乱流特有のスケール干渉の性質を解明するうえで、確率変数のゆらぎや相関を定量化する情報理論的観点が有用である可能性がある。

近年では情報理論と熱力学が融合した情報熱力学が確立し、「情報」が単なるデータ解析の道具ではなく、熱力学量と同等に系のふるまいを普遍的に制限する物理量であることが明らかにされている。

本講義では、そのような情報理論的観点から見えてきた乱流中のスケール干渉の性質を概説する。