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第71回 物性若手夏の学校 Condensed Matter Physics Summer School

集中ゼミ 1C

熱力学量測定から見る超伝導ギャップ構造

橘高 俊一郎 先生 🌐

東京大学

超伝導エネルギーギャップは、超伝導基底状態から準粒子を励起するために必要な最小エネルギーであり、クーパー対を形成する有効引力の性質を反映する物理量である。

したがって、その対称性を解明することは、非従来型超伝導の発現機構を理解する上で重要な手がかりとなる。

特に、フェルミ面上における「ギャップノード」の有無やその位置は、対形成を担う引力相互作用の起源に対して強い制約を与える。

本稿では、準粒子励起構造の磁場および角度応答を利用して、3次元的なギャップ構造を精密に同定する実験手法「磁場角度分解比熱測定」について解説する。

まず、本手法の基礎となる理論的背景を概観し、具体例として重い電子系超伝導体CeCu2Si2、UPd2Al3、およびUTe2における研究成果を紹介する。

これらを通じて、多彩なギャップ構造がどのように実験的に同定されてきたかを詳述する。

さらに、本手法を発展させた「回転磁気熱量効果測定」にも触れ、超伝導の背景に潜む量子臨界ゆらぎを熱力学的に捉える試みについて紹介する。

これにより、ギャップ構造の同定という枠を越えて、超伝導を創出する量子ゆらぎの本質に迫るための新たな実験的アプローチを提示する。