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第71回 物性若手夏の学校 Condensed Matter Physics Summer School

講義 D

つぶつぶのぶつり:非平衡散逸系の粉体物理学

稲垣 紫緒 先生 🌐

兵庫県立大学

粉粒体は、砂・穀物・粉末など多数の固体粒子からなる物質群であり、固体のように力を支える一方で、条件によっては液体のように流動し、ときに気体的な振る舞いも示す。

このように、単純に固体・液体・気体のいずれかに分類しがたい点に、粉粒体の物理の面白さがある。

本講義では、粉粒体の基礎物理を、静力学と動力学の両面から概説する。

静力学では、充填率や動径分布関数、応力鎖などの重要な物理量を導入する。

構造を特徴づける秩序変数は、ソフトマターやアクティブマターを含む多体系の解析に広く用いられている。

さらに、ランダム充填やジャミング、Janssen効果といった代表的現象を通して、静的な粉粒体に特有の性質を整理する。

動力学では、外部から振動や回転といった駆動を与えたときに現れる非平衡現象に注目する。

一般に、非平衡系では、外部からのエネルギー流入と系内での散逸のバランスのもとで、時間的・空間的に自発的な構造が形成されることが多い。

自発的な時空間パターン形成の具体例として、回転円筒容器で見られるサイズ分離現象および振動多区画系で観測される粉体時計を取り上げる。

これらの現象を通して、粉粒体に特徴的な非平衡ダイナミクスや時空間パターン形成の考え方を紹介し、粉粒体が身近でありながら豊かな物理をもつ研究対象であることを概観する。