講義 A
固体の極端非線形光学応答と超高速電子ダイナミクス
内田 健人 先生 🌐
京都大学
光は,物質の状態を非接触に調べる分光手段として,物性研究に広く用いられている.
通常の分光では,光が物質に与える影響は微弱な摂動として扱われ,光照射による物質状態の変化は十分小さいと仮定される.
では,光電場をさらに強くし,電子系が元の状態から大きく駆動される極端な状況では,どのような光学応答が現れるのだろうか.
本講義では,固体結晶を対象として,強い光電場下で電子がどのように運動し,その実時間ダイナミクスがどのように光として放射されるのかを,高次高調波発生と呼ばれる現象を通じて概観する.
実際の講義では,摂動論的非線形光学と極端非線形光学の違いを整理し,原子ガスにおける高次高調波発生の基本描像を確認する.
そのうえで,結晶中のブロッホ電子の運動が高調波応答に与える影響を,1バンド模型・2バンド模型を用いて説明する.
さらに,固体高次高調波実験に用いられる光源や測定手法を紹介し,最近の研究動向や課題についても議論する.