非断熱位相操作を用いた量子波制御
大阪府立大学大学院 工学研究科 萱沼 洋輔

量子コンピュータ、量子効果デバイスなどにおける電子波束の外場による操作方法の探索は21世紀の新しい問題である。 人間が直接操作できるのは巨視的変数としての外場であり、 量子系すなわち波動関数は、時間をあらわに含むハミルトニアンによって間接的に駆動される。 これは波動関数あるいは密度行列を操作し所期の変換(=量子演算)をいかに達成するか、 という目的指向型の問題と言える。 たとえ量子系の基底状態や熱平衡状態が分っていても、 その外場による駆動問題はほとんど未知の領域であることを強調したい。 外場による量子駆動では、断熱・非断熱の問題が基本である。 講義では、単純な2準位系(qubit)の外場による駆動問題から初めて、 さまざまな系における非断熱過程の理論を紹介する。 さらに、厳密に解ける非断熱駆動問題のクラスを整理し、相互の関連を考える。 また、非断熱遷移とその位相干渉を利用した新しいqubit操作法などについても議論する。

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